モノのインターネット(IoT)は、低コストのコンピューティング、信頼性の高いセンサー、良好な接続性を利用可能にし、これらすべてがIoTの急速な普及に貢献してきた。
IoTによって、センサーデバイスをインターネットに接続し、データを交換して相互のやり取りを監視できる。その結果、ビジネスの可能性は計り知れない。当然のことながら、最近の調査によると、世界中の企業がIoTソリューションを急速に導入している。
しかし、IoTデバイスの数と、それに伴って爆発的に増加するデータ量を考えると、すべての情報をクラウドに送るのは現実的ではない。より優れた代替手段が必要だ。
エッジコンピューティングは、このギャップを埋め、こうした膨大なデータの殺到に対応するのに適している。データを発生源で分析することで、エッジコンピューティングはデータセンターへの負荷を軽減し、遅延を抑え、企業がより効率的に業務を行えるようにする。
関連記事:IoTの未来を形作るトレンド
IoTとは何か
モノのインターネットとは、相互接続された物理デバイス、デジタルデバイス、機械デバイス、コンピューティングデバイス、つまり「モノ」に固有識別子(UID)が組み込まれ、インターネット経由で相互にやり取りできるようにしたシステムである。これらのデバイスは、一般的な機械デバイスから高度なソフトウェアツールまで、実に幅広い。
IoTデバイスには、デバイスを「スマート」にするセンサーが搭載されている。これらのセンサーは情報を収集し、大量のデータを生み出す。IoTゲートウェイはルーターとして機能し、HTTPやMQTT(MQ Telemetry Transport)など複数のデータプロトコルを介して、データをクラウドに送信する。データがクラウドに到達すると、分析ツールがデータを処理して重要な情報を抽出する。その情報はAPIを通じてエンドユーザーに送り返される。
エッジコンピューティングとは何か
実際、IoTの普及拡大はエッジコンピューティングを強力に後押ししている。接続されるIoTデバイスが増えれば増えるほど、膨大な量のデータが生成される。しかし、処理のためにこのすべてのデータをクラウドへ送ると、かえって逆効果になりかねない。
第一に、データを一つ残らずクラウドに送信するコストは、法外なものになり得る。第二に、これほど大量のデータをクラウドに送ると、遅延や帯域幅の問題が生じる可能性がある。
エッジコンピューティングでは、数千マイル離れた中央集約型クラウドにデータを送る代わりに、発生地点(デバイス)の近くでデータを処理できる。データが時間に敏感で、一瞬の判断が必要な場面では特に不可欠だ。エッジデバイスはネットワークのエッジで利用可能な情報を高度に分析し、組織が切望する予測やソリューションをリアルタイムで提供する。
IoTとエッジコンピューティングの比較:共通点は何か
IoTとエッジコンピューティングには、いくつかの共通点がある。要するに、どちらのテクノロジーも分散コンピューティング環境全体でデータを収集する。両者の特徴は次のとおりだ。
- センサーを使ってデータを収集する。
- 大規模にデータを生成する。
- どちらも革新的なテクノロジーであり、データの利用方法に革命をもたらしている。
両者の違いは何か
IoTはエッジコンピューティングと共通点があるものの、同じものではない。2つのテクノロジーは次のように異なる。
- エッジコンピューティングではデータをローカルで処理する一方、IoTデバイスではデータをクラウドに送ってデータ分析を行う。これはIoTとエッジデバイスの最も大きな違いの1つだ。
- IoTデバイスは、正常に機能するためにインターネット接続が必要だ。エッジデバイスでは、この機能は任意である。
- 各IoTデバイスが実行できる機能は1つに限られるが、1台のエッジデバイスは複数の機能に対応できる。
- IoTデバイスはデータ処理の必要性が低いため、単純なタスクに最適だ。これに対してエッジデバイスは複雑なオペレーティングシステムを実行するため、幅広いデータ処理能力をサポートできる。
- エッジデバイスは多数のIoTデバイスに対応できる。
IoTのユースケース
自動車IoT—自動車IoTでは、車両にセンサーやガジェット、インターネット接続を搭載し、リアルタイムの予知保全と安全性を実現する。IoTによって、コネクテッドカーの所有者は車両の状態を監視し、保守やメンテナンスに関する最新情報を受け取れる。
スマートホーム—スマートホームは、現在最も人気のあるIoTアプリの1つだ。スマートホームでは、日常的に使うデバイスがスマートホームシステムに接続され、離れた場所からでもデバイスを監視・操作できる。
スマートシティ—スマートシティは、データを収集するアプリやセンサーを備えた大規模なIoTエコシステムに依存している。発生源でデータを分析すれば、都市はサービスを改善し、より効率的に運営できる。
産業IoT—産業IoTは、工場やその他の産業分野で使われるデバイスで構成される。これらのデバイスは社内監視システムに接続され、KPIを監視し、業務が円滑に進むようにする。
エッジコンピューティングのユースケース
製造—エッジコンピューティングにより、製造業者は製造プロセスに関するリアルタイムの情報を収集し、より迅速に意思決定できる。工場全体にセンサーを配備することで、製造業者は機械の状態を把握し、エラーが発生する前に生産上の問題を特定できる。
自動運転車—自動運転車は、エッジコンピューティングの最良の例の1つだ。車両が走行中は、車両データをリアルタイムで分析しなければならない。そうでなければ役に立たない。エッジデバイスはデータをリアルタイムで処理し、車両のナビゲーションを支援する即時の結果を伝える。
医療—エッジコンピューティングは医療分野に変革をもたらしている。データを即時処理することで、病院は院外でも患者により良いケアを提供できる。例えば、ウェアラブル医療機器は慢性疾患患者の遠隔モニタリングを支援し、問題のある測定値や患者の異常な行動が発生した際には介護者に通知する。
その他の用途としては、拡張現実やVRを使ったスタッフのトレーニング、医療機器の移動の遠隔管理、ロボット支援手術などがある。
IoTとエッジの今後のトレンド
組織は効率を高め、ビジネス価値を引き出すため、エッジコンピューティングとIoTをますます活用している。今後数年間を支配するIoTとエッジコンピューティングのトレンドを紹介する。
さらなる成長へ
エッジコンピューティング市場の2021年の規模は365億米ドルで、2026年までに873億米ドルへ成長すると予測されている。この大幅な増加は、IoTやエッジデバイスの活用によって企業が大きく成長していることに起因する。
5Gが勢力を拡大
IoTデバイスの成否は、クラウドや他のデバイスにどれだけ速く接続できるかに左右される。5Gは4Gよりはるかに高速になるとされており、組織はその速度を活用して新たなユースケースを開発すると見込まれる。さらに、5Gネットワークは障害なく多数のデバイスを処理できるため、消費者もその恩恵を受ける。
セキュリティの重要性が増大
エッジコンピューティングセンターは、セキュリティ侵害を受けやすい可能性がある。分散型サービス拒否(DDoS)攻撃、ソフトウェアインジェクション、ルーティング攻撃などは、エッジデバイスが侵害される手段の一部だ。エッジコンピューティングがより機密性の高い情報を扱うようになる中、セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)フレームワークの採用が不可欠となる。このモデルには、ゼロトラスト・ネットワークアクセス(ZTNA)、サービスとしてのファイアウォール(FWaaS)、クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)が含まれ、場所にかかわらず安全なアクセスを確保する。
ステークホルダーがAIを導入
IoTデバイスが生成するデータ量が雪だるま式に増加する中、そこから実行可能な洞察を導き出すことが重要になる。AIはネットワークにインテリジェントな思考能力をもたらす。AIによって、エッジやIoTの導入環境は人の介入なしに過去の活動から学習し、将来のアクションを予測できる。