VPN(仮想プライベートネットワーク)は、インターネット接続とオンライン上のプライバシーを保護するサービスです。Webベースのサービスやサイトに接続する際、データを暗号化し、IPアドレスを隠します。また、VPNは地理的制限や検閲措置を回避するためにも利用できます。
仮想プライベートネットワークの仕組み
VPNは、外部の監視者からIPアドレスを隠します。暗号化されたトンネルを経由してインターネット接続をルーティングすることで、別の国にいるように見せかけられます。例えば、米国にいながらカナダのVPNサーバーに接続すると、Webサイトにはカナダからログインしているように表示されます。また、インターネットサービスプロバイダー(ISP)がオンライン上の行動を監視することを難しくし、場所に基づいてコンテンツを制限する地域ブロックも回避できます。
VPNは、すべての通信をVPNサーバーに到達するまで暗号化して判読不能にします。VPNサーバーではデータが復号され、宛先に送信されます。つまり、ISPなどの第三者は、暗号化されたトンネルの中で何が起きているのか把握できません。
銀行やECサイトなど、HTTPSに対応した機密性の高いサイトと併用すれば、公開ネットワーク上を通過するパスワードや支払い情報などのデータ保護に役立ちます。VPNは海外旅行時にも便利で、安全性の低い公衆Wi-Fiスポットへの接続を避けられます。
VPNプロトコルとは?
VPNプロトコルとは、2つ以上のネットワーク間で情報を交換する方法を定めたルールです。代表的なVPNプロトコルには、OpenVPN、Point-to-Point Tunneling Protocol(PPTP)、Layer 2 Tunneling Protocol(L2TP)、Secure Socket Tunneling Protocol(SSTP)、Internet Key Exchange version 2(IKEv2)があります。
これらのプロトコルは、遠隔地にあるコンピューターを同じローカルネットワーク上にあるかのように接続する暗号化トンネルを構築できます。それぞれ長所と短所があるため、安全性と使いやすさの面で自分のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
- PPTPは、互換性が最も広く、遅延も最小ですが、データ暗号化に一部制限があります。
- L2TP/IPsecはより優れたデータ暗号化機能を備えていますが、PPTPより遅延が大きくなります。
- SSTPは利用可能な中で最高レベルのデータ暗号化を提供しますが、一部のアプリケーションではサポートされていない場合があります。
- IKEv2は高い安全性と非常に安定した接続を両立しており、モバイルデバイスに適しています。
- OpenVPNはオープンソースの代替手段として開発されました。無線接続と有線接続のどちらでも適切に機能し、事前共有鍵、証明書、ユーザー名とパスワードの組み合わせ方式など、複数の認証方式に対応しています。
VPNの暗号化はどのように機能する?
VPNの暗号化とは、読み取り可能なデータを判読不能な形式に変換するプロセスです。アルゴリズムを使って実行されるため、鍵を持たない人は情報を復号できません。VPNに接続すると、コンピューターからVPNサーバーに接続確立のリクエストが送信されます。
接続が確立すると、通信はコンピューターとVPNサーバーの間にある安全なトンネルを経由します。これにより、盗聴者や通信を覗き見ようとする第三者からデータを保護できます。このプロセスは、金融情報や個人データなどの機密情報が権限のない人物にアクセスされるのを防ぐのに役立ちます。
VPNトンネリングとは?
現実世界におけるトンネルとは、地下の通路や、障害物(つまり悪意のある攻撃者)の下を通って人(ネットワークの世界ではVPNパケット)が目的地へ移動できる、閉ざされた通路のことです。
VPNにおけるトンネリングとは、安全な「トンネル」またはVPN接続内にネットワーク通信をカプセル化して暗号化するプロセスです。VPNトンネリングの主な目的は、インターネット経由でデータを送信する際のプライバシー、安全性、匿名性を確保することです。
VPNの6つのメリット
VPNサービスの明らかなメリットは、ユーザーの活動を詮索好きな第三者の目から隠し、プライバシーを確保できることです。この仕組みによる手段と効果には、安全なデータ転送、暗号化、IPアドレスの匿名化、デバイス保護、ストリーミングの利用可能性、プライベートブラウジングなどがあります。
1. 安全なデータ転送
VPNを使えば、誰かに追跡されるのを防げます。カフェ、空港、ホテルなどの公衆Wi-Fiネットワークに接続中に共有されるデータは暗号化されていません。強力な暗号化プロトコルを備えたVPNサービスを使えば、個人情報を傍受される心配なく、公衆Wi-Fiを安全に閲覧できます。VPNを使うと、デバイスとの間で送受信されるすべてのデータが、軍用レベルの256ビットAES-GCM暗号化によって保護されます。
2. 暗号化
メール、インスタントメッセージ、ソーシャルメディアアプリ、バンキングアプリ、閲覧履歴など、セキュアなVPN接続上でやり取りされるすべての機密コンテンツは、傍受から保護されます。
VPNを使うと、デバイスから送信される前にデータが暗号化されます。サーバーに到達すると復号されるため、データを傍受した人物に見えるのは意味をなさない文字列だけです。つまり、データにアクセスできるのは自分だけなので、安全かつプライベートに保たれます。
3. IPアドレスと位置情報を隠す
プライベートブラウジングでVPNを使うと、実際のIPアドレスの代わりに匿名のIPアドレスが割り当てられ、オンライン上のプライバシーと安全性を維持できます。これは物理的な位置情報の偽装にも及びます。別の国にあるVPNサーバーに接続すると、オンラインでの行動がすべて、そのVPNサーバーがある国から発信されたように見えます。
4. デバイスの保護
VPN接続を使えば、自宅にいるときも旅行中も、デジタル上のプライバシーと安全性を自分で管理できます。VPNサーバーに接続すると、PCやノートパソコンなどのデバイスと公衆Wi-Fiスポットの間で、他人に活動を覗き見されるのを防げます。
5. どこからでもストリーミングできる
映画やテレビ番組のストリーミングサービスの中には、IPアドレスに基づいて視聴できる番組を地域的に制限するものがあります。この問題を避けるため、自国以外にあるVPNサーバーに接続するユーザーもいます。
ただし、ストリーミングサービスはライセンス契約上の理由から、VPNをブロックしようとすることがよくあります。こうした制限を回避するには、専用IPアドレスを提供するプロバイダーに登録しましょう。
6. Web上の活動を隠し、検閲を回避する
VPNは、Web上の活動を匿名に保ち、インターネットの自由を維持するのに役立つことで、保護をさらに強化します。データ、身元、位置情報の保護にも役立ちます。データ保護のためにVPNを使っていれば、ISPに活動を追跡される心配はありません。重要なのは、抑圧的な国家の市民が政府による監視や地域ブロックを回避できる点です。
VPNの種類
VPNにはさまざまな種類があります。主なものは、パーソナルVPN、モバイルVPN、リモートアクセスVPN、サイト間VPNの4種類です。
- パーソナルVPNサービス:一般的なインターネットユーザー向けに設計されたタイプです。現在地では視聴できない映画のストリーミング、Web検閲の回避、IPアドレスの隠蔽、オンライン活動の覗き見防止が可能になります。
- モバイルVPN:どこからでも企業データやその他のアプリケーションにアクセスでき、データの安全性とプライバシーを維持できます。接続が失われたりネットワークが切り替わったりするなど、物理的な接続状況が変化してもセッションを維持できるため、リモートワーカーに適しています。
- リモートアクセスVPN:クライアントベースVPNまたはクライアント・サーバーVPNとも呼ばれます。通常は、社内ネットワークにリモート接続するため、安全に内部リソースへアクセスする必要があるテレワーカー、モバイルワーカー、リモート従業員が利用します。
- サイト間VPN:組織が複数の遠隔拠点を1つの安全なネットワークに接続するために、一般的に利用されます。サイト間VPNは、拠点ごとに他の接続拠点から共有リソースへアクセスできるため、複数の支社を持つ企業に適しています。
VPNが必要なのはどんな人?
サイバーセキュリティの世界で何かが保証されることはありません。しかし、信頼できる安全性とセキュリティを備えた、制限のないインターネット環境を求めるなら、VPNサービスは有力な選択肢の1つです。
次のいずれかを行う必要があるなら、VPNが適しています。
- インターネット接続を暗号化する
- 安全にデータを転送する
- オンライン上の身元を保護する
- 地域制限を回避する
- Webサイトのブロックを解除する
VPNは、データ、閲覧履歴、パスワードなどを暗号化し、オンラインで安全に過ごせるようにします。これらの情報はすべて暗号化され、選択したサーバーに送信されます。IPアドレスも隠されるため、自分までたどられることはありません。
VPNは安全性とプライバシーを提供し、Web閲覧やファイルのダウンロード中に匿名性を保つ、ファイアウォールから隠れる、コンテンツ制限を回避する、サイバー犯罪から身を守るなど、さまざまな用途があります。
VPNは決して、ダウンロードしたファイルや実行可能なWebサイトに含まれるマルウェアやウイルスからあなたを保護するものではありません。そのため、信頼できるウイルス対策ツールが必要です。
企業向けVPNの4つの代替手段
VPNは堅牢なネットワークセキュリティソリューションですが、企業ネットワークに十分な安全性を提供できない場合があります。安全なリモートアクセスとデータ保護を実現するVPNの注目すべき代替手段として、仮想デスクトップ、ゼロトラスト、ソフトウェア定義境界、クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)などがあります。
場合によっては、これらのソリューションからネットワークに最適なものを1つ選ぶことになります。しかし、最大限の保護を実現するには、複数のソリューションをネットワーク上で同時に導入するとよいでしょう。
仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)
VDIは、集中管理されたサーバー上でホストされる完全な仮想ワークスペースにユーザーが安全に接続できるリモートデスクトップ仮想化の一種です。これにより、自分や従業員はデスクトップPC、モバイルデバイス、シンクライアントなど、どのデバイスからでも企業アプリケーションにアクセスできます。
VDIのユースケースには、第三者アクセス、規制コンプライアンス、コールセンター、リモートワークなどがあります。
ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)
ZTNAの概念はシンプルです。正当性を証明するために身元を確認するまで、誰も、どのアプリケーションも信頼してはなりません。このセキュリティフレームワークは、企業リソースへのアクセスを許可する前に、ユーザーとデバイスの身元および信頼性を確認することに重点を置いています。
従来のVPNのように広範なアクセスを許可するのではなく、ZTNAはよりきめ細かいコンテキストを考慮したアクセス制御を提供します。ZTNAソリューションは通常、強力な認証、マイクロセグメンテーション、暗号化トンネルを使ってデータを保護します。
ソフトウェア定義境界(SDP)
SDPも、よりきめ細かなアクセス制御を実現するセキュリティモデルです。各アプリケーションの周囲に「ブラッククラウド」を作り、権限のないユーザーから見えない、アクセスできない状態にします。ユーザーとデバイスは、特定のアプリケーションやリソースにアクセスする前に、認証と認可を受ける必要があります。
クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)
CASBはユーザーとクラウドサービスの仲介役として機能し、セキュリティと制御をさらに強化します。データ暗号化、アクセス制御、脅威対策、データ損失防止などの機能を提供します。CASBは、VPNだけに頼らずにクラウドベースのアプリケーションやサービスへアクセスする際、データの保護に役立ちます。
結論:企業におけるVPNのメリット
VPNは、サイバー脅威からネットワークを保護する最良の方法の1つです。VPNは信頼できるセキュリティ対策であることが実証されていますが、万全なネットワーク保護戦略ではありません。CASB、データ損失防止ツール、ゼロトラストネットワークアクセスなど、他のセキュリティソリューションと併用するのが最善です。
悪意のある攻撃者からネットワークを保護する際、少しの油断も許されません。包括的なセキュリティソリューションに投資することが、組織の安全を確保する最善の方法です。
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