数年前、一部の業界関係者は警告し、悪いデータがITサービスマネジメント(ITSM)を損なっていると指摘した。データ管理の不備などが企業に悪影響を及ぼし、急速にIT業界が直面する課題となっていた。
それから現在までの間に、状況は一変した。データを活用することで、ITSMは自らと、それが支援する企業を変革したのだ。実際、ITSMはITソリューションを提供する存在から、価値変革の触媒へと変貌を遂げた。数多くのイノベーションやトレンドがこの勢いを支えているが、この進化の出発点にあるのは主に人工知能(AI)だ。
データはAIの中核であり、現在は豊富に存在する。AIはこれを活用し、いよいよ成果を還元できる段階に入った。自動化と機械学習(ML)は、企業による定型業務の遂行を支援してきた。今やAIと機械推論が、さらなる生産性向上をもたらそうとしている。
ITの全体最適
ITの歴史から見れば、ITSMは古参の存在だ。数十年にわたって利用されてきた。1970年代は新しいテクノロジーに注目が集まり、1980年代にはデータ管理センターへと軸足が移った。1990年代の中心テーマはサービスレベル合意書だった。反復作業の自動化が登場したのは2000年代初頭である。
現在、AIの導入とデジタルトランスフォーメーションが業界の最優先課題となっていると、ITSM Toolsの調査は報告している。PricewaterhouseCoopers(PwC)の報告書も、試算している。生産性向上などの波及効果により、AIは2030年までに世界経済へ15.7兆ドルをもたらすという。
何より重要なのは、AIによってITSMの対象がIT固有の問題から、企業全体の問題へと広がったことだ。業界のリーダーたちはワークフォース・イネーブルメントの概念を理解し、人々をめぐる価値創出へと焦点を移そうとしている。言い換えれば、次のように問いかけているのだ。「社内外の人々が複雑な業務を遂行できるよう、必要なサービスをどう提供するのか。どうすれば人々を支援できるのか」と。
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究極の目標
こうした問いが生まれたのは、10年前と比べてデータと革新的テクノロジーが飛躍的なペースで増加し、膨大な量に達しているためだ。ITSMは、ユーザーを対象としたプラクティスやソリューションから、企業全体に真の価値を生み出す組織内の機能へと進化した。
AI、機械学習と機械推論、自動化、クラウドコンピューティングは、データの検証・収集・整理、分析、そしてデータに対する応答の自動化を行い、従業員や顧客の問題を解決するための不可欠なツールだ。この力により、組織はデータに基づく意思決定のためのリアルタイムインテリジェンスを得られる。従業員を苛立たせ生産性を損なうサイロをなくし、社内外の問題に対するより高度な分析と迅速な対応を促進できる。
こうした相乗効果によって、ITSMはすでにITの枠を超え、人事、施設管理、マーケティング、法務、財務、調達を含む企業全体の業務に対応するようになった。特に、コロナウイルスのパンデミックを受けて、より多くの従業員がリモートで働くようになったことが背景にある。対象となる役割の拡大は、次いで新たなデータと分析を生み出し、ITSMが企業を改善する可能性を示している。それこそが究極の目標だ。競争力を維持したい企業は、それを見いだすための戦略を策定しなければならない。
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尽きることのない恩恵
AIは今後、音声認識、インシデントの分類と優先順位付け、セルフヘルプ用のナレッジベースや修正履歴の維持、頻出する、あるいは根深い問題点の特定、将来の再発防止に向けた修正方法の提案によって、さらなる効率化を実現する。
こうした効率化から生まれるデータが、さらなるイノベーションの波を引き起こし、適切に管理されたITを企業におけるゲームチェンジングな価値増幅要因にすると期待される。AIの分析によって、従業員がより幸福で生産的に働ける職場をITが生み出す最善の方法が明らかになれば、企業の姿勢、文化、行動も改善すると予測されている。
結局のところ、デジタルトランスフォーメーションとは、ハイパーオートメーションやテクノロジーだけを意味するものではない。企業がデジタル技術を全体的に統合して事業を変革し、価値創出を高め、そして何よりも人々を支援できるようにする、文化的な変化を促すことでもある。
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Ryan van BiljonはSymphony SummitAIの米州担当バイスプレジデント。Symphony SummitAIに加わる前は、Samanageで営業・サービス担当バイスプレジデント、Alphanumeric SystemsでITマネージドサービス担当ディレクター、Xeroxで戦略的事業部門マネージャーを務めた。