ネットワーク監視とは、ハードウェア層とソフトウェア層にまたがるネットワークの状態を検出、マッピング、追跡するプロセスです。その目的は、ネットワークインフラのあらゆる側面を追跡し、重要なKPIを包括的に可視化することにあります。
これらのKPIをより深く理解することで、IT管理者はネットワーク問題の根本原因を特定し、重大な障害や停止に発展する前に先回りして対策を講じられます。
この記事では、ネットワーク監視の仕組み、そのメリットと課題、さまざまな種類のネットワーク監視、導入に役立つ主要ツールについて解説します。
ネットワーク監視の仕組み
ネットワーク監視は最も基本的な形では、まずネットワーク上のデバイスを特定し、通信に関するデータを収集して中央の場所に送信し、全体的な指標を監視します。その後、問題や異常が発生した際にトラブルシューティングを行います。
1. デバイスの特定
ネットワークを効果的に監視するには、まず監視対象となるデバイスとネットワークを特定する必要があります。パフォーマンス指標を比較するためのベースラインを設定し、機能ごとに監視頻度を決めます。なお、業務上不可欠なコンポーネントは、重要度の低いものと比べて監視間隔を短くする必要があります。
2. データ収集
監視プロセスの一環として、ネットワークエンジニアは、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)、パケットスニッフィング、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)、ログ分析など、さまざまなプロトコルや手法を使ってネットワーク情報を収集します。ネットワーク管理者は、pingスイープリクエストも送信し、応答を待つことで、ネットワークが停止しているか、パケット損失が発生しているかを確認します。
さらに、SNMPはスループット、インターフェースエラー、CPU使用率、メモリなど、さまざまなネットワーク指標のデータを収集し、これらの指標に異常な変化があった場合はユーザーに警告します。
3. データの監視
収集したデータは一元化された監視システムに送信されるため、ネットワーク管理者は1カ所から主要なパフォーマンス指標を監視できます。
4. トラブルシューティング
監視ツールには、遅延、帯域幅、接続速度など、さまざまな主要パフォーマンスパラメーターのしきい値が設定されています。これらのしきい値を超えた場合、ネットワークエンジニアは、ネットワークアナライザー、パフォーマンスツール、ping、tracerouteなど、さまざまな手法を用いて、発生したネットワーク関連の問題を特定し、解決します。
ネットワーク監視のメリット
ネットワークを継続的に監視することで、ネットワークの可視性向上、高可用性、効率化などのメリットが得られ、これらすべてが ITチームによる早期のトラブルシューティングと、事業継続性の維持に役立ちます。
ネットワークの可視性向上
ネットワーク監視によって、組織はネットワークのルーター、仮想マシン(VM)、スイッチ、ファイアウォール、クラウドサーバーなどのコンポーネントがどのように動作しているかを完全に把握できます。 ネットワークに問題が発生した場合、IT管理者はエンドユーザーに影響が及ぶ前に、問題の箇所をすばやく特定して解決できます。
高可用性
ネットワークの可用性は、ビジネスを円滑に運営するうえで不可欠です。ネットワーク監視ツールは、一元化されたプラットフォームとアラームの詳細を視覚的に表示する機能を活用して、ネットワークの根本原因分析を行います。これにより、平均応答時間(MTTR)が短縮され、企業はネットワークの高可用性を維持できます。
効率の向上
ネットワークをより細かく監視することで、組織は問題をすばやく特定して解決し、大きな混乱を防げます。その結果、業務の中断が減るだけでなく、ITリソースをより有効に活用できるようになります。IT担当者はより重要な業務に時間を振り向けられるためです。
ネットワーク監視の課題
ネットワーク監視には多くのメリットがある一方、誤検知、アラートの過多、規模拡大に伴う正確なベースラインの維持など、考慮すべき課題もあります。
誤検知
ネットワーク監視システムは、ときに不正確な結果を出し、誤検知につながることがあります。このような状況ではリスクを過大評価し、貴重な時間とリソースを無駄にするおそれがあります。
アラートの過多
ネットワーク監視ツールは、特に前述した誤検知の問題と重なると、膨大な数のアラートを生成することがあります。そのため、ネットワーク管理者はすべての警告を精査しきれず、未処理のアラートが蓄積することで、最新のアラートを無視し始める「アラート疲れ」を招く可能性があります。さらに、対応不要なアラートへの対処に追われることで、本当に重要なアラートが埋もれてしまいます。
正確なベースラインの考慮
適切に構築されたネットワークベースラインは、ネットワークトラフィック、パケットサイズ、帯域幅、アプリケーションの利用状況を監視し、ネットワークの状態を明確に把握できるようにします。しかし、ネットワークは絶えず進化・拡大するため、新しいネットワークノードをすべて取り込むことは、正確なベースラインの設定と維持における課題となります。組織内のデバイスやユーザーの変化をベースラインに反映させるには、継続的な確認と調整が必要です。
ネットワーク監視の種類
ネットワーク監視は、何を監視するかに応じて、障害監視、ログ監視、パフォーマンス監視、構成監視、可用性監視など、さまざまな種類に分類できます。
障害監視
ネットワーク障害監視とは、コンピューターネットワーク内の障害を発見し、報告することです。ネットワークの稼働を中断させず、シームレスに運用するために不可欠であり、すべてのプログラムやサービスを円滑に動作させるうえで重要です。
ログ監視
ログ監視とは、サーバー、アプリケーション、Webサイトなどのネットワークリソースが生成するログを分析することです。これらのログからはユーザーアクティビティに関する貴重な洞察が得られ、企業による規制遵守、インシデントの迅速な解決、ネットワークセキュリティの強化に役立ちます。
ネットワークパフォーマンス監視
ネットワークパフォーマンス監視(NPM)は、遅延、ネットワークトラフィック、帯域幅の使用量、スループットなどの監視パラメーターを追跡し、エンドユーザーエクスペリエンスを最適化します。NPMツールは、ダウンタイムの最小化やネットワーク問題のトラブルシューティングに役立つ貴重な情報を提供します。
構成監視
ネットワーク構成の監視では、ネットワーク上で使用されているソフトウェアとファームウェアを追跡します。これにより不整合をすばやく特定して対処し、可視性やセキュリティにおける抜け漏れを防止できます。
ネットワーク可用性監視
可用性監視とは、ITインフラ全体を監視してデバイスの稼働時間を把握することです。ITデバイスやサーバーを継続的に監視することで、ネットワークが停止した場合や利用できなくなった場合にアラートを受け取れます。可用性監視で最も一般的に使われる手法は、ICMP、SNMP、Syslogです。
ネットワーク監視ツールのトップ3
ネットワークを手作業で監視し、パフォーマンスに関する情報を収集するのは、時間がかかるうえ、エラーも多くなりがちです。 自動化されたネットワーク監視ツールは 最新のテクノロジーを活用してネットワーク全体を可視化し、より効率的に ネットワークを監視できるようにします。
実績のあるネットワーク監視ツールをいくつか紹介します。
WhatsUp Gold
WhatsUp Goldは、やや知名度は低いものの、ユーザーから高く評価されているネットワーク監視ソリューションです。このソフトウェアを使えば、ネットワーク管理者はオンプレミスとクラウドの両方でアプリケーションを簡単に監視できます。
SNMPやIPアドレスなどのレイヤー2/3テクノロジーを利用するWhatsUp Goldによって、ネットワーク管理者はサーバーと無線ネットワークを完全に可視化し、トラフィック、パフォーマンス、その他の潜在的な問題を監視できます。WhatsUp Goldは、ネットワークのパフォーマンスをリアルタイムで簡単に監視できるよう、インタラクティブでカスタマイズ可能なダッシュボードも提供しています。
SolarWinds
SolarWindsは、1カ所からネットワークを簡単に監視できる、マルチベンダー対応のネットワークパフォーマンスソリューションです。SolarWinds Network Performance Monitor(NPM)は、SNMP、ICMP、Windows Management Instrumentation(WMI)プロトコルを使ってネットワークパスとノードを自動的に検出し、ネットワーク管理者にすべてのデバイスとベンダーの概要を提供します。NetPath機能を使えば、監視対象のノードをさらに詳しく調査し、重要なパフォーマンス指標を追跡できます。
このプラットフォームには、トラップをリアルタイムで監視するSNMPトラップサーバー、カスタムモニターを作成するユニバーサルデバイスポーラー、ログメッセージを一元的に保存するsyslogなど、不可欠なツールも備わっています。
LogicMonitor
LogicMonitorは、ITチームが統合された1つのダッシュボードからネットワーク全体を監視できるクラウドベースのネットワーク監視プラットフォームです。2,000以上の標準搭載連携機能を備え、デバイスの検出を自動化するほか、ネットワークトラフィックを分析するトポロジーマップも搭載しています。さらに、発生したネットワーク問題をすばやく解決できるインテリジェントなアラートしきい値も備えています。
結論:ネットワーク監視でパフォーマンスを確保し、問題を防止する
安定したネットワークを維持するには、常に注意を払う必要があります。ネットワークコンポーネントにたった1つパフォーマンス上の問題があるだけでも、ネットワーク全体に大きな影響を及ぼす可能性があるためです。最適なパフォーマンスを確保し、ネットワーク問題を防止するには、ネットワーク監視が不可欠です。
プロアクティブなネットワーク監視によって問題を早期に特定し、ダウンタイムを最小限に抑え、ネットワーク管理者の生産性を高められます。その結果、時間を節約し、効率を向上できます。
ネットワーク監視とパフォーマンスを最適化するには、市場で利用できる最適なネットワーク監視ツールのいずれかを選びましょう。予算を抑えたい場合や、より細かな設定が必要な場合は、最適なオープンソースのネットワーク監視ソリューションのいずれかをお試しください。