ファイアウォール・アズ・ア・サービス(FWaaS)は、ネットワーク セキュリティソリューションであり、クラウド上の一元化された場所からネットワークを保護します。
現代の企業は世界各地にオフィスを展開しており、分散し変動するエンドポイントがこれほど多いネットワークを、従来型のファイアウォールで適切に管理するのは、ほぼ不可能です。 FWaaSは、 境界型ファイアウォールとして機能しながら、クラウド上でホスティングされるため、拡張性や可視性が高く、管理も簡素化できます。 FWaaSソリューションを選択すれば、各社のネットワーク固有の要件に合わせてカスタマイズできます。
使いやすく多くのメリットがあることから、現在では多くの企業がFWaaSソリューションを選んでいます。当然ながら、世界のFWaaS市場は2029年までに82億8,000万米ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は25.40%、そのうち「パブリッククラウド」が最大のシェアを占める見込みです。
本記事では、FWaaSの仕組みと主な機能、そしてネットワークに導入することで組織が得られるもの、あるいは失う可能性のあるものを解説します。
ファイアウォール・アズ・ア・サービスの仕組み
FWaaSでは、他のアズ・ア・サービス型サービスと同様に、 サードパーティーのベンダーが クラウド環境に大規模なファイアウォールの導入環境を構築します。セキュリティを確保するため、各顧客には他のインスタンスとは異なるファイアウォールインスタンスが割り当てられます。ユーザーは、一元化されたファイアウォールパネルから割り当てられたインスタンスにアクセスし、ファイアウォールを設定できます。
ユーザー側でFWaaSを設定して有効化する作業は数分で完了します。管理パネルでは、特定のIPアドレス、プロトコル、ポートを許可またはブロックするなど、独自のルールを設定できます。
企業のルーターはFWaaSベンダーのクラウドインフラに接続されます。接続後は、インターネットトラフィックがユーザーのシステムではなく、プロバイダーを経由するようになります。
FWaaSはインターネットトラフィックを受信すると、データパケットの送信元・宛先アドレス、ポート番号、パケットヘッダー、ペイロードの内容を検査します。設定されたルールに基づき、トラフィックの通過を許可するかどうかを判断します。
また、将来の分析に備えてネットワークトラフィックをログに記録します。企業は監視ダッシュボードからこれらのログにアクセスできます。
さらに、FWaaSベンダーは定期的なセキュリティ監査を実施し、ファイアウォールがあらゆるサイバー脅威に対応できるよう、パッチや修正プログラムを適用します。
FWaaSの主な機能
FWaaSプロバイダーを選ぶ際に確認すべき主な機能は、次のとおりです。
- サンドボックスサーバー
- 高度な脅威防御機能
- メール/URLフィルタリング
- 侵入防止システム(IPS)
- ドメインネームシステム(DNS)保護
- アプリケーション制御
- 即時スケーリング
- ログレポート
- DDoS保護
組織にFWaaSが必要な理由
クラウドコンピューティングが主流となり、仮想化が当たり前になる中、ネットワークを保護するには境界セキュリティだけでは不十分であることが明らかになっています。従来の境界型セキュリティには限界や死角があり、デジタルインフラの監視を困難にします。その結果、システムが攻撃やデータ侵害に対して脆弱になる可能性があります。
さらに、ユーザーがさまざまな場所にいる状況では、すべてのデバイスやエンドポイントを追跡するのは困難です。そのため、潜在的な脅威が見逃される機会が生じます。
加えて、従来の境界型ファイアウォールは、ネットワークを外部の脅威から保護すること(南北トラフィック)に重点を置いています。そのため、同じく脆弱な内部トラフィックや東西トラフィックにはほとんど注意を払いません。物理ファイアウォールでセグメンテーションポリシーを実装することはできますが、動的な環境で機能するほど俊敏ではありません。
FWaaSは、クラウドアプリケーションに強固な防御を提供します。中央パネルでアクセスを制御できるため、ITチームは完全な可視性を確保し、きめ細かなアクセス制御を実現できます。これにより、機密データとアプリケーションを保護できます。
ファイアウォール・アズ・ア・サービスのメリット
従来型ファイアウォールと比べたFWaaSのメリットには、セットアップと管理が比較的容易であること、セキュリティポリシーを統一できること、拡張性があることなどが挙げられます。
セットアップが容易
従来型ファイアウォールの導入には時間がかかり、多くの人員とリソースが必要です。ITチームはファイアウォールを適切に保護するだけでなく、保守作業も行わなければなりません。
それに対し、FWaaSのセットアップは簡単で手間がかかりません。サービスプロバイダーに連絡するだけで、ファイアウォールの導入や必要なアプリケーション制御の設定を任せられます。
管理の簡素化
従来型ファイアウォールを使う場合、新たなセキュリティ上の進展があるたびに、 ソフトウェアに定期的にパッチを適用または更新しなければ なりません。FWaaSはマネージドサービスなので、プロビジョニング や導入について 新たなセキュリティツールを心配する必要はありません。 組織を保護するために必要なネットワークツールの維持は、プロバイダーが担います。
統一されたセキュリティポリシー
FWaaSを利用すれば、社内にあるか遠隔地に保存されているかを問わず、企業のネットワークリソースをシームレスに保護できます。この強力なツールによってすべてを一カ所から管理でき、重要な資産を包括的に保護できます。
一元化されたポリシー管理
一元化されたポリシー管理により、セキュリティオペレーションセンター(SOC)チームは、単一の画面からすべてのネットワークトラフィックを確認し、24時間体制で監視できます。リアルタイムの脅威可視化によって即座に対応できるため、システムの効率が向上します。
容易なスケーリング
自社運用のファイアウォールには、いくつかの課題があります。まず、インフラを管理するために 追加のスタッフを雇う必要があり、費用も労力もかかります。 さらに、機器を増強する場合は高価なハードウェアを購入する必要がありますが、規模を縮小すると不要になります。これに対して、FWaaSのクラウドファイアウォールなら、大きな投資をせずに規模を拡大・縮小できます。
FWaaSの制限事項
FWaaSには多くのメリットがありますが、組織はソリューション導入時に直面する可能性のある制限事項も把握しておく必要があります。潜在的な遅延、プライバシー上の懸念、ベンダーロックインなどが挙げられます。
ネットワーク遅延への懸念
FWaaSの利用によって遅延が発生し、ネットワークが遅くなる可能性があると考え、多くの企業は自社運用のファイアウォールを選びます。低遅延を必要とするアプリケーションでは、特にその傾向が当てはまります。こうした問題は5Gなどの高度なネットワーク技術によって軽減されつつありますが、事前にネットワークの強度、FWaaSに必要な帯域幅、第三者のレビューサイトを確認しておく価値はあります。
プライバシー上の懸念
業務上極めて重要なデータを扱う企業は、ネットワークセキュリティを外部の第三者に委ねることにためらいを感じるかもしれません。少なくとも、署名する契約は慎重に確認し、共有する可能性のあるデータと、その利用目的を正確に把握しておくべきです。
ベンダーロックイン
他のアズ・ア・サービス型の選択肢と同様に、FWaaSソリューションを選ぶ際にはベンダーロックインが起こる可能性があります。信頼できる撤退戦略がなければ、計画どおりに進まなかった場合にプロバイダーを変更するのは難しいでしょう。選択肢を慎重に比較し、自組織の目標に合ったサービスを選んでください。
FWaaSの主なユースケース
現在のFWaaSの主なユースケースは、ネットワークの保護、データの移行、リモートアクセスのセキュリティ確保です。
悪意のあるトラフィックからネットワークを保護する
FWaaSを利用すれば、クラウド資産を24時間365日保護でき、常に安全にインターネットへアクセスできます。ネットワークへのトラフィックの侵入を許可する前に、FWaaSはデータパケットを徹底的に検査し、通過を許可するかどうかを判断します。
FWaaSはアプリケーション制御も利用し、認証、多要素認証(MFA)、データの有効性チェックなどのきめ細かなポリシーを適用して、悪意のあるトラフィックがネットワークにアクセスするのを防ぎます。
安全なデータ移行
データが最も脆弱になるのは、クラウドへ移行中の段階です。データを保護するには、FWaaSを利用できます。これにより、きめ細かな制御を適用し、マイクロセグメンテーションを実施できるため、クラウドへの転送中も重要なデータを効果的に保護できます。
リモートアクセスのセキュリティ確保
リモートワーカーは、企業のデータセンターにアクセスするために、頻繁に仮想プライベートネットワーク(VPN)を利用します。しかし現在では、ほとんどのアプリケーションがクラウド上にあるため、クラウドにアクセスするためにデータセンターへ接続するのは合理的ではありません。その代わりに、FWaaSへ直接接続できます。FWaaSは高度な脅威検知機能を備えており、すべてのトラフィックをデータセンターへバックホールすることなく、悪意のある活動を監視・フィルタリングできます。
FWaaSとNGFWの違い
FWaaSと次世代ファイアウォール(NGFW)は混同しやすいものの、両者には基本的な違いがあります。
NGFWは、IPS、ディープパケットインスペクション(DPI)、脅威インテリジェンスフィードなどの高度な機能を備えた、非常に高機能なファイアウォールです。一方、FWaaSは実際にはファイアウォールそのものではなく、クラウド上で動作し、ファイアウォールを「サービスとして」提供するソフトウェアソリューションです。
リモートデバイスを含むネットワークのあらゆる側面をNGFWで保護する場合、コストと複雑さが増します。しかしFWaaSソリューションなら、サブスクリプションサービスを選択することで、ソフトウェアの管理、設定、更新をベンダーに委託できます。
一部のNGFWとは異なり、FWaaSは追加のソフトウェアを必要とせず、標準でSSLインスペクションを実行できます。
FWaaSはNGFWと比べ、複数の拠点にセキュリティ設計を複製する作業を簡素化します。各拠点でNGFWを個別に設定する必要がなくなるため、より費用対効果に優れています。
結論:組織でFWaaSを利用する
効率的なファイアウォールシステムは、あらゆる企業のネットワーク戦略に組み込むべきです。 しかし、 企業のオフィスが世界各地にあり、リモートワークが普及する中では、自社運用のファイアウォールシステムだけで企業資産を保護することはできません。
賢明な解決策はFWaaSを選ぶことです。FWaaSは幅広い高度なサイバー脅威から保護すると同時に、自社運用のファイアウォール管理に費やす時間を削減します。最新のテクノロジーを活用することで、FWaaSは 今日の複雑なセキュリティ環境において、企業が安全を維持できるようにします。
組織のネットワークを保護するために利用できる最適なソフトウェアベースのファイアウォールを選定しました。