企業ネットワークのセキュリティ監査とは、ネットワークの健全性を評価し、セキュリティリスクを確認するために、企業のネットワークを詳細に評価することです。ネットワークはあらゆる企業にとって不可欠な要素ですが、効果的に機能させるには、不正アクセスやセキュリティ上の脆弱性から保護する必要があります。監査はこうしたセキュリティ問題の防止に役立ちます。
ネットワーク監査の目的は、ネットワーク内のセキュリティ上の抜け穴や脆弱性を特定し、ネットワーク管理チームが必要な措置を講じて問題を修正できるようにすることです。ネットワーク監査では通常、次の主要な項目を確認します。
- ネットワーク管理
- ネットワークパフォーマンス
- ネットワークの可用性
- ネットワークの実装
- ネットワークセキュリティ
- 全体的なパフォーマンス
ネットワーク監査によって、企業は自社ネットワークの全体像を把握し、長期的に事業へ損害を及ぼしかねないセキュリティ上の不備を知ることができます。監査では問題を特定し、企業が問題を修正できるようにします。サイバー犯罪者に悪用される前に、抜け穴を突かれて甚大な被害が生じるのを防ぐためです。
関連記事:オープンソースのネットワーク監視ツールおすすめ。
ネットワークセキュリティ監査が重要な理由
通常の業務では、企業はシステムに新しいハードウェアやソフトウェアを日常的に追加します。しかし、新たに追加するたびに新たなセキュリティ上の脆弱性が生じる可能性があります。監査を実施すれば、企業はネットワークセキュリティの全体的な状況を把握し、サイバーセキュリティ上の問題が業務の生産性に影響を及ぼす前に修正できます。
さらに、リモートワークやBYOD(私物デバイスの業務利用)ポリシーが柔軟に運用されている現在、ネットワークはサイバーセキュリティの脅威にさらされる可能性が高まっています。放置すると、BYODによってネットワークがマルウェア、不正なハードウェア、未知のサードパーティー製アプリにさらされ、データ損失や脅威アクターによる攻撃の増加につながる可能性があります。
そのため、ネットワーク管理者はネットワークを定期的に監視し、包括的な全体像を把握することが重要です。そうすることで、ネットワーク内のセキュリティ上の弱点を発見しやすくなります。
関連記事:企業ネットワークの7つの課題
ネットワークセキュリティ監査のメリット
ネットワークセキュリティ監査のメリットは次のとおりです。
- セキュリティリスクを特定できる
- データ損失を防止できる
- セキュリティポリシーへの準拠を確保できる
- ネットワークの健全性に関する詳細なレポートを取得できる
- 既存のネットワークが企業のニーズに合致していることを確認できる
- ネットワークを保護するための可視性を確保できる
ネットワークセキュリティ監査の実施方法
ネットワーク監査では、ネットワークを保護するために使用されているサイバーセキュリティポリシーを確認します。脅威を特定した後、正式な監査レポートを作成し、経営陣やその他のステークホルダーに送付してレビューを受けます。
1. ネットワークデバイスのインベントリを作成する
最初のステップは、ネットワークデバイスのインベントリを作成し、ネットワーク上のすべてのオペレーティングシステムとデバイスを特定することです。これには、管理対象デバイスと管理対象外デバイスのすべてを特定する作業が含まれます。詳細な調査によって、ITチームはシステムを綿密に分析し、エンドポイントデバイスとその脆弱性を特定できます。
2. ネットワークポリシーを特定する
ここでは、監査担当者がネットワークポリシーと実際の制御を評価し、想定される基準に適合していることを確認します。これにより、監査担当者はデバイスの健全性を把握し、どのような変更を行うべきかを判断できます。
3. 脅威を特定する
ネットワークに対するサイバーセキュリティ上の疑わしい脅威を一覧化することは、ネットワークのレジリエンスを高めるうえで不可欠です。一般的な脅威には次のようなものがあります。
- フィッシング攻撃
- ランサムウェア
- 不正なセキュリティソフトウェア
- DDoS(分散型サービス拒否)攻撃
- トロイの木馬、スパイウェア、ウイルス、ルートキットなどのマルウェア
4. リスク評価を実施する
監査担当者は、ネットワークに対する主要な脅威を特定するため、複数のリスク評価テストを実施します。リスク評価により、監査チームはネットワーク資産全体を俯瞰し、企業が直面する潜在的なリスクを把握できます。収集した情報に基づき、監査担当者は修正対応に優先順位を付けられます。
5. 保護対象のデータを調査する
このステップでは、機密データの所在を特定し、保護するための措置を講じます。機密データを保護するためのベストプラクティスには、次のようなものがあります。
- 最小権限の原則を使用し、機密データにアクセスできる人数を制限する。
- 可能な限り、読み取り専用アクセスのみを許可する。
- データを暗号化して機密データを保護する。
6. ネットワーク侵入テストを実施する
ネットワーク侵入テストは、システムの脆弱性を発見するのに役立つ手法です。ネットワーク侵入テストでは、ネットワークが安全であることを確認するため、考えられるあらゆる角度からテストします。監査担当者は通常、2種類の侵入テストを実施します。システムを確認する静的テストと、プログラムの実行中にテストする動的テストです。
7. 発見事項を報告する
報告はプロセスの最終段階であり、監査チームが発見事項を組織のステークホルダーと共有します。レポートでは既存の問題を明らかにし、解決策を提案することで、経営陣が自社の外部および内部のリスクを把握できるようにします。
関連記事:ネットワーク管理ソリューションおすすめ。
ネットワーク監査ツールの例
小規模なネットワークを監査する場合、ネットワーク管理者はツールを使わないことがあります。ネットワークに接続して手作業で監査を実施すればよいからです。しかし、ほとんどの企業がそうであるようにネットワークが大規模な場合は、ネットワーク監査ツールが役立ちます。
SolarWinds Network Performance Monitor
SolarWinds Network Performance Monitorは、自動化された高機能のネットワーク監査ツールで、ネットワーク管理者がネットワークの欠陥を容易にトラブルシューティングできるよう支援します。
このツールには、ネットワーク障害の迅速な解決を可能にするNetPathやPerfStack、インテリジェントマッピング、高度なアラート機能、パフォーマンス分析、ネットワーク問題の迅速な診断と解決に役立つクリティカルパスの可視化など、高度な機能が搭載されています。
ManageEngine OpManager
ManageEngine OpManagerは使いやすいネットワーク監査ツールで、サーバー、ロードバランサー、スイッチ、ファイアウォール、仮想マシンなど、ネットワークに接続されたあらゆるネットワークデバイスのパフォーマンスと健全性を継続的に監視します。
このツールには2,000以上のネットワークパフォーマンスモニターが組み込まれており、ネットワークの健全性をプロアクティブに監視し、ネットワークパフォーマンスに関する詳細なレポートを提供します。
ITarian Network Assessment
ITarianのNetwork Assessmentは、詳細なスキャンを実施して脆弱性を明らかにする無料のネットワーク監査ツールです。このツールには、充実したレポート機能が備わっています。また、リスク軽減計画を作成することもできます。企業はこれらのレポートをカスタマイズし、XP移行準備状況レポート、Excelエクスポートレポート、資産詳細レポート、変更管理レポート、完全詳細レポートを作成できます。
特に優れた機能の1つが、Workgroup、Active Directory、IP範囲を介して企業がネットワークをインポートできる、簡単なセットアップウィザードです。
Nmap
Network Mapperとしても知られるNmapは、最も古いネットワーク監視ツールの1つであり、ポートスキャンや脆弱性チェックに使われる最も有名なツールの1つです。Nmapはオープンソースのネットワーク探索ツールで、セキュリティ監査、ネットワーク探索、ネットワーク管理に役立ちます。Nmapは生のIPパケットを使用してネットワークをスキャンし、使用されているファイアウォールの種類、稼働中のオペレーティングシステム、使用中のポート、利用可能なホストなどを検出します。
関連記事:ネットワーク自動化ツールおすすめ
脆弱性が問題になる前に特定する
企業はネットワークの定期的な評価や監査の実施を見落としがちです。しかし、それを怠ると組織に深刻な結果をもたらす可能性があります。ネットワーク監査は、セキュリティ戦略の中核を補完する重要な取り組みです。ネットワーク監査によってセキュリティ上の抜け穴を早期に特定すれば、脆弱性が重大な問題へと発展する前に芽を摘むことができます。