インターネット接続の中核を担うルーターは、複数のデバイスが インターネットに接続できるようにし、データパケットをそれぞれの宛先アドレスへ転送するデバイスです。動的ルーティング技術を使い、ルーターはデータを調べ、利用可能な複数の経路から情報を流すための最も効率的な経路を選択します。
ルーターは具体的に何をするのか?
ルーターの主な機能は、ネットワーク間でデータパケットを転送(またはルーティング)することです。 ネットワークでは、データパケットはインターネット上で転送される基本的な情報単位です。すべてのデータパケットには、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスが含まれています。 ルーターの役割は IPパケットを送信元ステーションから宛先ステーションまで、障害なく効率的にルーティングすることです。
ルーターには、ほかにも次のようなさまざまな機能があります。
- 管理の簡素化:利用可能なIPアドレスの数が限られているため、ルーターはネットワークアドレス変換(NAT)を使用し、複数のデバイスで1つのパブリックIPアドレスを共有できるようにします。NATはネットワークセキュリティを向上させ、ネットワーク管理も簡素化します。
- パケットフィルタリング:ルーターはフィルタリング技術を使い、疑わしいトラフィックがないか送受信パケットを監視します。ポート番号、IPアドレス、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)メッセージなどのスクリーニングフィルターに基づいて、パケットを許可するか拒否するかを判断します。
- 動的ルーティング:動的ルーティングでは、ルーターは ネットワークの変化に適応し、リアルタイムの状況に基づいて最適な経路を選択します。ルーターがネットワークの一部で障害を検知すると、ルーティングテーブルを参照し、代替経路へトラフィックを迂回させます。
- トラフィックの分類:サービス品質(QoS)を利用して、より優先的に扱うトラフィックを決定します。
ルーターはどのように動作するのか?
ルーターがデータパケットを受信すると、 IPヘッダーを読み取り、パケットの宛先を把握します。まず、さまざまなネットワーク宛先への経路情報を記載したルーティングテーブルを確認します。これらのルーティングテーブルでは、宛先に到達するための最適な経路を選ぶアルゴリズムが使われています。
その後、ルーターはパケットが宛先に到達するまで次のノードへ送信し、データを円滑に伝送します。
ネットワークルーターの構成要素
ネットワークルーターは、内部コンポーネントと外部コンポーネントの両方で構成されています。内部コンポーネントは次のとおりです。
- CPU:ルーターには、パケットを追跡しながら最適な経路を効率的に判断できるCPUが搭載されています。
- メモリ:ルーターは、RAM、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ、 不揮発性RAM(NVRAM)など、さまざまな種類のメモリを使用します。
- RAM:RAMはルーターのメインメモリですが、データを一時的にしか保存しません。ルーターの電源を切ると、すべてのデータが消去されます。
- フラッシュ:フラッシュメモリは、ルーターのオペレーティングシステムを保存するための不揮発性メモリです。フラッシュメモリに保存された内容は、ルーターをシャットダウンしても影響を受けません。
- NVRAM:NVRAMは、ルーターの電源を切った後もデータを保存できる不揮発性RAMの一種です。
- インターフェース/ポート:ルーターは、さまざまなケーブルに接続するため、EthernetやSerialなど複数のインターフェース/ポートをサポートしています。EthernetではFastEthernetとGigabitEthernetを、SerialではHDLC、PPP、Frame Relayをサポートします。
ルーターの外部コンポーネントには 次のものがあります。
- WANポート:WANポートは、広域ネットワークまたはインターネットに接続します。
- LANポート:LANポートはローカルエリアネットワークに接続し、接続されたデバイス間の通信を可能にします。
ルーターの主な種類
かつてルーターは、ネットワークを介してデバイス同士が通信できるようにするハードウェアという点で、基本的に同じものでした。しかし現在では、ルーターにはさまざまな形態があります。代表的なものを紹介します。
- 有線ルーター:ルーターの原型である有線ルーターは、物理的なEthernetケーブルを使って ネットワーク上でデータを共有します。
- 無線ルーター:無線ルーターは、内蔵アクセスポイントを通じてWi-Fiインターネット接続を可能にします。 家庭や小規模オフィスで広く使われており、複数のデバイスを同時にサポートできます。
- エッジルーター:エッジルーターは、 ネットワークの境界に配置される、特殊な有線または無線ルーターです。これらのルーターは内部ネットワークとは通信せず、外部ネットワークと通信します。
- 仮想ルーター:仮想ルーターは、コンピューターを物理ルーターと同等の効率で動作させるソフトウェアです。物理ルーターと同様にデータパケットを共有し、必要に応じて迅速に規模を拡大できます。そのため、高性能なネットワークソリューションを求める企業にとって優れた選択肢です。
- コアルーター:コアルーターは、さらに 特殊なルーターの一種で、 ネットワークのコア内でデータを転送します。 大規模な組織に適しており、大量のトラフィックを処理できるよう設計されています。
ルーターで最もよくある問題とは?
ルーターではさまざまな問題が発生する可能性があります。ここでは、よくあるルーターの問題とその対処方法を紹介します。
ネットワークが遅い
複数のクライアントがルーターへの接続を試みているにもかかわらず、ルーターの処理能力がすべてのクライアントに十分であるとは限らないため、ネットワークが遅くなることがあります。この場合、ルーターによって1台以上の接続デバイスのインターネット速度が低下する可能性があります。
ネットワークが遅い場合は、ルーターの電源ケーブルを抜き、30秒待ってから再び接続してみてください。
信号が弱い
ルーターが古い、または不適切な場所に設置されていると、Wi-Fi信号が遮られることがあります。また、大型家電や厚い壁などの物理的な障害物によっても、信号強度が低下する可能性があります。
Wi-Fi信号を強くするには、ルーターと無線デバイスの間にある障害物を取り除きます。また、ルーターを高い場所に設置し、最新の状態に保ってください。広い場所では、1台以上のWi-Fi中継器が必要になる場合があります。
接続できなくなった
ルーターから締め出される原因はいくつかあります。パスワードを忘れたか、ハッキングされている可能性もあります。
原因にかかわらず、接続できなくなった場合は、リセットボタンを10秒以上押してルーターのパスワードをリセットできます。
ルーターのプロトコル
ルーターはルーティングプロトコルを使って、さまざまなネットワークへの 利用可能な経路の詳細を含むルーティングテーブルを構築します。 この情報に基づき、ルーターは各データパケットにとって最適な経路を判断できます。
ルーターのプロトコルの種類
ルーターのプロトコルにはさまざまな種類があります。代表的なものを紹介します。
ルーティング情報プロトコル(RIP)
最も古いルーティングプロトコルの1つであるRIPは、距離ベクトルアルゴリズムを使って パケットを宛先にルーティングし ます。距離ベクトルルーティングでは、パケットが宛先に到達するまでに通過するルーターの数(または「ホップ」数)を単純に計算し、データパケットに最適な経路を決定します。
ただし、RIPは大規模で複雑なネットワークには最適な選択肢ではありません。ネットワークの初期には十分だった30秒ごとの更新のブロードキャストしか設計上行わず、現代のネットワークトラフィック量には対応できないうえ、最大15ホップまでしかサポートしないためです。
このプロトコルの新しいバージョンであるRIPv2(およびそのIPv6拡張であるRIPng)は、RIPの欠点を改善し、マルチキャスト、パスワード認証、可変長サブネットマスク、ポイズンリバースなどの追加機能を提供します。ただし、最大ホップ数は依然として15に制限されています。
最短経路オープンファースト(OSPF)
リンクステート型ルーティングプロトコルで、TCP/IP環境向けに設計されています。パケットが 宛先に到達するために通るべき最適な経路を、ダイクストラのアルゴリズムを用いて計算します。
ボーダーゲートウェイプロトコル(BGP)
ゲートウェイプロトコルで、EGPに代わるものとして開発されました。 主な機能は、最適経路選択アルゴリズムを使って自律システム(AS)間でデータパケットを転送することです。主な特徴として、ネクストホップ、クラスレスドメイン間ルーティング(CIDR)、伝送制御プロトコル(TCP)への対応、ネットワーク帯域幅の効率的な利用などが挙げられます。
中間システム間プロトコル(IS-IS)
IS-ISは、ダイクストラアルゴリズムを使ってデータ伝送に最適な経路を見つけるリンクステート型かつクラスレスのプロトコルです。自律システム内のルーティングに使用されます。
ルーター、スイッチ、モデムの違い
ルーター、スイッチ、モデムは似ているように見えますが、それぞれ用途が異なり、組み合わせて使うことで、家庭や企業などの組織でインターネット接続を実現します。
| ルーター | スイッチ | モデム | |
|---|---|---|---|
| 目的 | デバイスをモデムに接続する。 | 同じネットワーク内の複数のマシンを接続する。 | ネットワークをISPに接続する。 |
| ネットワークの種類 | LAN、WAN、MAN。 | LAN。 | WAN。 |
| 接続方式 | 無線および有線接続。 | 有線接続のみ。 | 無線および有線接続。 |
| セキュリティ | 内蔵の保護機能を備える。 | MACアドレスフィルタリングで保護される。 | パブリックIPアドレスを使用するため、安全ではない。 |
| OSI層 | レイヤー1~3(物理層、ネットワーク層、データリンク層)。 | レイヤー2。 | レイヤー3。 |
| データ形式 | パケット。 | フレーム。 | パケット。 |
要点:ルーターは効率的なネットワーク通信を実現する
ルーターは、現代のネットワークコンピューティングに文字どおり不可欠なコンポーネントです。ルーターがなければ、ほとんどのネットワーク接続は不可能でしょう。 優れたルーターは、ネットワーク間で高速かつ信頼性の高い安全なデータ伝送を実現します。
ネットワーク管理者は、ルーターの種類や用途など、ルーターについて包括的に理解しておく必要があります。この知識があれば、自組織に適したルーターを選び、ネットワークのパフォーマンスを最適化できるようになります。
組織のネットワークの効率と稼働時間を最大化するため、最適なエンタープライズ向けWi-Fiソリューションとプロバイダーを知っておきましょう。