ソフトウェア定義型広域ネットワーク(SD-WAN)は、ネットワーク管理者が複雑化する企業ネットワークをクラウドベースのソフトウェアで一元管理できるネットワークアプローチです。
このSD-WAN市場は2026年までに137億米ドルに達すると予測されており、SD-WANを利用する顧客のうち大企業が最も大きな割合を占める見込みです。
SD-WANによって、企業は従来のWANサービスの制約や、それに伴う非効率性を軽減できます。一方で、依然としていくつかの課題が存在します。ここでは、こうした課題とその対処方法について詳しく解説します。
SD-WANの主な課題と問題
企業がSD-WANの導入時に直面する主な課題には、適切なベンダーの選定、クラウド接続の問題、トラブルシューティングの難しさ、セキュリティ上の懸念などがあります。それぞれの問題への対処方法を紹介します。
適切なベンダーの選定
多くの組織が、既存のネットワークインフラに適切なSD-WANソリューションを統合するという課題に直面しています。各ベンダーは、自社製品によってWANサービスに革新をもたらし、企業のデジタルトランスフォーメーションを実現できると主張しています。このような状況では、情報の洪水の中から適切なベンダーを選び出すことがより難しくなります。
- この問題に対処するには、ITチームが自社のネットワークの現状を把握し、必要なサービスを最も適切に提供できるベンダーを見極める必要があります。
- 市場の主要なSD-WANプロバイダーおよびベンダーについて徹底的に調査し、それぞれのサービス内容と自社の要件への適合性を把握する必要があります。
クラウド接続の問題
クラウド接続は、SD-WANにおける問題となる可能性があります。特に、信頼性と効率性の高いアクセスを必要とするクラウドベースのアプリケーションやサービスを複数利用している組織では、その傾向が顕著です。従来のWANアーキテクチャの多くは、クラウドへの直接接続に最適化されていないため、パフォーマンスのボトルネックや遅延の増大、データセキュリティ上の潜在的な懸念につながることがあります。
- この問題を解決し、SD-WANのクラウド接続を改善するには、アプリケーション認識型ルーティング機能を備え、各クラウドアプリケーションの具体的なニーズに基づいてインテリジェントなルーティング判断を行えるSD-WANソリューションを導入します。
- 動的パス選択(DPS)用のWANポリシーを設定します。これにより、利用可能な帯域幅、遅延レベル、パケット損失などのリアルタイムの状況に基づき、クラウド向けトラフィックに最適な経路が自動的に選択されます。
トラブルシューティングの難しさ
SD-WANのトラブルシューティングは、構成が複雑なため非常に困難です。例えば、アプリケーションの遅延や動作の遅さが発生している場合、その原因がネットワークにあるのか、導入時の障害なのか、システムリソースの不足なのか、それとも別の要因なのかを特定するのは容易ではありません。
さらに、ベンダーごとに異なるアーキテクチャのSD-WANソリューションを提供しているため、ベンダー固有の実装に関するトラブルシューティングも問題になります。アプリケーション固有のパフォーマンス問題と、基盤となるネットワークの問題を区別する必要があることも、プロセスをさらに複雑にします。
- すべてのネットワーク拠点に監視エージェントをインストールしてみましょう。これにより、SD-WANネットワークのトラブルシューティングに必要なデータを収集できます。
- 一元的な管理と構成を提供するSD-WANプロバイダーを選びましょう。
- さまざまな種類の問題に対応する標準化されたトラブルシューティング手順を策定し、実行します。
セキュリティ上の懸念
SD-WANではトラフィックが動的に分散されるため、可視性が失われる可能性が懸念されています。この動的な性質に加え、拠点で直接インターネットにアクセスする必要があることから、適切に構成・監視しなければセキュリティ上の脆弱性が生じる可能性があります。
- この課題への対処方法の1つは、セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)と併せてSD-WANを導入することです。
- ネットワークセグメンテーションを用いて、重要な資産や機密データをネットワークの他の部分から分離します。
- ITチームは、十分なエンドポイントセキュリティ機能と構成機能を備えたSD-WANソリューションだけを検討すべきです。
- ネットワークトラフィックをフィルタリングし、悪意のあるファイルやコードを含むパケットをブロックするパケットフィルタリングファイアウォールを導入します。
SD-WANの問題に対処するための一般的なベストプラクティス
SD-WANを円滑に運用するには、潜在的な問題に対処できる一般的なベストプラクティスに従うことが不可欠です。これには、ネットワーク評価の実施、パイロット導入の開始、セキュリティを最優先するアプローチの採用、結果の継続的な監視と分析などが含まれます。
ネットワークを評価する
SD-WANを導入する前に、既存のネットワークインフラを徹底的に評価します。SD-WANで最適なパフォーマンスを確保するには、帯域幅の要件、アプリケーションのパフォーマンス要件、トラフィックパターンなどを詳しく確認する必要があります。
この評価によって、組織固有のニーズを満たし、潜在的なボトルネックにも対処できる、カスタマイズされたSD-WANソリューションを設計できます。
パイロット導入を検討する
ネットワーク全体に導入する前に、限られた数の拠点でSD-WANのパイロット導入を始めることを検討しましょう。これにより、管理された環境でソリューションをテストし、予期しない課題を特定して、規模を拡大する前に必要な調整を行えます。
セキュリティを最優先するアプローチ
SD-WANの導入当初からセキュリティ対策を組み込みます。選択したSD-WANソリューションが堅牢なセキュリティ機能を備え、既存のセキュリティインフラとの統合をサポートし、効率的なネットワークセキュリティを確保できるようにします。エンドツーエンドの暗号化を優先し、すべてのサイトで一貫してセキュリティポリシーを実装します。
継続的な監視と分析
ネットワーク監視および分析ツールを導入して、SD-WANのパフォーマンスをリアルタイムで可視化します。遅延、帯域幅の使用率、アプリケーションのパフォーマンスなどの主要な指標を監視することで、ユーザー体験に影響が及ぶ前に、問題を先回りして特定・解決できます。
ベンダーを厳しく評価する
さまざまなSD-WANプロバイダーやベンダー、およびそのサービス内容を徹底的に評価します。導入実績があり、優れたカスタマーサポートを提供し、標準への準拠に取り組む、信頼できるベンダーを選びましょう。
結論:SD-WANの課題への対処
SD-WANは間違いなく、組織のネットワークインフラに多くのメリットをもたらす変革的なテクノロジーです。しかし、SD-WANの導入と運用を成功させるには、このソリューションに伴う課題に対処することが不可欠です。
こうした課題に対処するには、組織は適切なSD-WANベンダーを戦略的に選び、ソリューションに投資する前に、その能力を十分に確認する必要があります。
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