サステナビリティは、リサイクルや節水対策と結び付けて考えられることが多い。しかし、テクノロジーの世界、特にインターネットトラフィックの大部分が経由するデータセンターでは、サステナビリティがますます重要な役割を果たしている。
今日のデータセンターにおけるサステナビリティとは、私たちが日々ビジネスを円滑に運営するために依存するコンピューティングマシンやモバイルデバイスの利用拡大を相殺するため、エネルギー・水の消費量と炭素排出量を削減することを意味する。
2020年時点で、データセンターが消費した電力は200~250 TWhで、世界の電力需要の1%を占めており、今後も増加傾向が続くと予想されている。
グリーン化への圧力
データセンターはインターネットトラフィックを処理し、データを送信している。インターネットトラフィックは指数関数的に増加しており、過去10年間では2010年以降毎年約30%、2020年だけで40%増加した。今後も、特に消費者がゲーム、電子商取引、ストリーミングサービスをより多く求める中で、増加し続けるだろう。つまり、データセンターの運営者は、こうした大量のデータトラフィックの処理によって生じるカーボンフットプリントを相殺するため、特別な配慮を払う必要がある。
データセンターのカーボンフットプリント削減に注目が集まっている主な理由は、政府の規制と、気候変動に対する人間の影響をめぐる意識や社会規範の高まりにある。VPNbrains.comのサイバーセキュリティコンサルタント、Therese Schachner氏は、「政府、サステナビリティを重視する組織、消費者が、データセンターにより持続可能な運用を求める最大の圧力となっている」と説明する。
米国をはじめ各国で高まる規制圧力により、データセンターの効率化が必要となっている。2020年12月に成立した米国エネルギー法は、データセンターのエネルギーと水の利用に関する新たな調査や、データセンターが新しい効率指標を策定することを求めている。Schachner氏はさらに、「欧州ではデータセンターのエネルギー効率に関する行動規範」が施行されています」と付け加える。
消費者や投資家がサステナビリティへの取り組みに注目するようになり、企業もそれに応えている。その表れが、ブランド戦略におけるグリーンマーケティング戦略や、データセンターのエネルギー消費量削減に向けた取り組みだ。Airconditioner Labのコミュニティマネージャー、Holly Curell氏は、企業がサステナビリティへの関心を高める要因として、消費者の価値観の変化を挙げる。「消費者は社会問題や環境問題を意識し、懸念するようになりました。企業の価値観は、倫理的な事業慣行と同じくらい重要だと考えています」
規制当局やステークホルダーからの圧力に加え、同業他社からの圧力も影響している。データセンターの競合企業は、グリーン化の取り組みについて発信し、実行に移している。実際、サステナビリティに関するIT調査に回答したIT幹部の90%が、サステナビリティを最優先事項の一つに挙げている。口先だけでなく、実際に行動しているのだ。回答者の67%がサステナビリティ目標を設定していると答え、その回答者の62%が、目標達成に向けてデータセンターのインフラを評価している。
Amazon、Google、Microsoftといったテクノロジー業界の大手企業は、他社が追随でき、また追随すべき新たな先例を作っている。そのため、グリーン化はテクノロジー業界で単なる選択肢ではなく、企業が行動に移すべき共通の価値になりつつある。
データセンターがグリーン化に向けて進める5つのステップ
LuckLuckGoのCOO、Ryan Yount氏によると、より持続可能なデータセンターを構築するための基本的なステップには、「定期的なベースラインエネルギー監査の実施、データセンターの電力使用量の削減、データセンターの冷却の最適化」が含まれる。
以下では、データセンターがより持続可能になるための具体的な方法を紹介する。
スケーラビリティ=効率性
私たちが利用するサービスやインフラの多くは、効率性の高いクラウドデータセンターやハイパースケールデータセンターによって支えられている。こうしたデータセンターは、仮想化ソフトウェアによって少数のサーバーで高い稼働率を実現している。仮想化ソフトウェアは、1台または数台のサーバー上で複数のアプリケーションやオペレーティングシステムを実行できる仮想コンピューターシステムを構築する。
地域に即したエネルギーマッチング
太陽光や風力だけでは、データセンターが使用する電力の一部しか相殺できない。そのため、長期的に脱炭素化された電力網を構築するうえで、時間単位の負荷マッチング戦略が有効な前進策となる。データセンターの運営者は、再生可能エネルギーの購入地域を限定するよう努めるべきだ。包括的なエネルギーマッチング戦略とは異なり、地域に即したエネルギーマッチングでは、低炭素エネルギー源がより豊富に存在する場所と時間に再生可能エネルギーを購入する。例えば太陽光エネルギーは、地理的な場所によって偏在する。
GoogleとMicrosoftは、カーボンフリー電力の利用を先導しており、地域に即したエネルギーの調達とマッチングを通じて、昼夜を問わずゼロカーボン電力を実現する計画を発表している。
高いエネルギー効率を実現するDCIMおよびBMSシステム
データセンターインフラ管理(DCIM)ソフトウェアやビル管理システム(BMS)ソフトウェアは、データセンターの運営者がより効率的なエネルギー利用の方法を特定し、記録できるよう支援することで、データセンターの効率化とサステナビリティ目標の達成に貢献する。DCIMソフトウェアは成長中のカテゴリーであり、売上は今後も増加傾向が続くと予想される。
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グリーンデータセンターの構築
企業は、BREEAM、LEED、Green Globesなどのグリーン建築基準を導入している。
標準的な義務建築基準の中には排出量を重視しないものもあるが、Building Research Establishment Environmental Assessment Method(BREEAM)やLeadership in Energy and Environmental Design(LEED)をモデルにしたGreen Globesのような任意の建築基準は、排出量を重視している。
Green GlobesとLEEDを比較すると、前者はプロジェクト・環境管理を取り入れている一方、LEEDには運用と保守に関する基準が含まれている。幸い、いずれもまったく新しい建物の建設を必要とするものではなく、既存の建物にも基準を適用できる。
グリーンサプライヤーとの提携
企業はClean Energy Buyers Association(CEBA)に加盟している。会員数が300社を超えるCEBAは、2030年までに米国の電力システムの90%をカーボンフリーにすることを目指し、再生可能エネルギーの利用を物流面・財務面でより実現しやすくすることに取り組む企業、サプライヤー、政策立案者のネットワークだ。
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データセンターのサステナビリティには改善の余地
ハードウェア・インフラからの排出が課題に
運用技術からの炭素排出削減が進む一方、コンピューティング機器など、データセンターの非運用面は、今後もデータセンターのグリーン化の取り組みに課題を突き付けるだろう。2020年10月の調査では、ハードウェアやインフラ機器がデータセンターの炭素排出量の大部分を占めることが明らかになっている。
再生可能エネルギー源をデータセンターに近づける
現在、人口の少ない農村部に位置することが多い風力、太陽光、地熱発電の電源を、通常は都市部に位置するデータセンターへ供給することには、物流上の課題がある。しかし、2021年11月時点で成立したばかりのInfrastructure Investment and Jobs Actの一部によって、この問題への対応が進むだろう。
コストの壁
データセンターがグリーンな取り組みを導入し、機器を改修してよりカーボンニュートラルにするには、依然としてコストの壁がある。しかし、Infrastructure Investment and Jobs Actは、グリーンプロジェクトや取り組みに補助金を支給している。
持続可能なデータセンターの未来
より多くのデータセンターが長期・短期の両面で持続可能な運用に注力する中、注目すべき新たなトレンドには、ブロックチェーンアプリの利用拡大や、データセンター運用の効率をさらに最適化するためのAI・MLの活用がある。
暗号資産の普及に伴ってブロックチェーンアプリケーションがより一般的になるにつれ、データセンターの運用担当者、エネルギーアナリスト、政策立案者は、データセンターのエネルギー消費量の把握、追跡、管理により注目するようになるだろう。
AI・MLソフトウェアの統合は、データセンターの効率化に役立つ。タスクを自動化し、アイドル状態のマシンを停止できるほか、AI・MLによる予測分析によって、データセンターの運営者はエネルギーや水の消費量と、それらがデータセンターの湿度や冷却温度などに及ぼす影響をより正確に予測・管理できる。
大手テクノロジー企業が先導する中、特にデータセンターにおけるサステナビリティというテーマが消えることはない。実際、インターネットトラフィックの量が増え続けるにつれ、データセンターの運営者はエネルギー消費と炭素排出の影響を抑え続ける必要がある。