ジッターやネットワークパケット損失と並び、企業ネットワークの遅延はユーザー体験に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、エンドユーザーが短い待ち時間に慣れている現在では、その影響は大きくなります。
インターネットの利用が増え、遅延について議論・評価できるようになったことで、消費者は遅延をより意識するようになりました。そのため、高速通信と良好なユーザー体験を維持するには、遅延を可能な限り抑えることが重要です。
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ネットワーク遅延とは?
サーバーとクライアントがネットワーク経由のデータ交換を完了するまでに必要な総時間を、ネットワーク遅延と呼びます。
クライアントがインターネット経由でサーバーにリクエストを送信する際には、複雑なネットワーク処理が数多く発生します。これらの処理では、まずローカルゲートウェイにリクエストを送り、ゲートウェイが複数のルーターを使ってロードバランサーやファイアウォール経由でリクエストをルーティングし、サーバーに到達させます。したがって、リクエストの経路を完了するには時間がかかります。
ネットワークは日々拡大しているため、高遅延はますます一般的になっています。さらに、クラウドや仮想化リソースの急増、リモートワークやハイブリッドワーク、企業による複数アプリケーションの運用により、ネットワークの問題解決も複雑化しています。
高遅延ネットワークによる長い遅延は通信のボトルネックを生み、最終的には通信帯域幅を低下させます。その結果、アプリケーションのパフォーマンスが悪化し、ユーザー体験の低下によって、ユーザーがアプリケーションの利用を完全にやめてしまう可能性があります。
ネットワーク遅延の測定方法には、主にファーストバイトまでの時間(TTFB)とラウンドトリップ時間(RTT)があります。ファーストバイトまでの時間は、サーバーがクライアントのリクエストの最初の1バイトを受信するまでにかかる時間です。一方、ラウンドトリップ時間は、リクエストを送信してサーバーから応答を受信するまでの時間を指します。
ネットワーク遅延の原因とは?
距離
クライアントとサーバーの距離は遅延に影響します。リクエストを送信するデバイスが、リクエストに応答するサーバーから200マイル離れている場合、2,000マイル離れたサーバーにリクエストを送信するよりも速く応答を受信できます。
伝送媒体
高遅延と低遅延の違いは、伝送媒体の選択によって生じる場合があります。伝送媒体の特性や制約は、遅延に影響を及ぼします。例えば、光ファイバーネットワークはあらゆる段階で遅延が発生するものの、ほとんどの伝送媒体と比べて低遅延を実現します。
また、クライアントのリクエストを完了するまでに、データが複数の異なる伝送媒体を経由しなければならない場合があります。異なる伝送媒体を切り替えることで、伝送時間全体に数ミリ秒の遅延が加わる可能性があります。
ルーター
インターネット上を伝送されるデータは、ルーターがデータパケットを処理・ルーティングする複数の地点を通過することがよくあります。ルーターがパケットヘッダーの情報を分析するには時間がかかるため、こうした地点によってRTTに数ミリ秒が加わる場合があります。ルーターとのやり取りが発生するたびに、データパケットには余分なホップが追加され、遅延の増大につながります。
ドメインネームシステム(DNS)サーバーのエラー
DNSサーバーの設定に誤りがあると、ネットワーク遅延に深刻な影響を及ぼす可能性があります。不具合のあるDNSサーバーは、待ち時間を長くするだけでなく、アプリケーションに完全にアクセスできなくすることもあります。
最適化が不十分なバックエンドデータベース
過剰に利用されているデータベースは、アプリケーションに遅延を引き起こす可能性があります。多様なデバイスに対応できるようデータベースを最適化しなければ、深刻な遅延が発生し、結果としてユーザー体験が悪化するおそれがあります。
ストレージの遅延
ブリッジやスイッチなどの中間デバイスは、データパケットにアクセスしたり保存したりする際に遅延を引き起こす可能性があります。
ネットワーク遅延を軽減する方法
良好なネットワーク遅延とは、サーバーとやり取りされるユーザーデータの量にかかわらず、ネットワークが良好な接続を維持できる状態を意味します。ここでは、ネットワーク遅延を許容可能なレベルまで軽減するための手法を紹介します。
コンテンツデリバリーネットワーク
リクエストに応答するサーバーとリクエストを送信するクライアントの距離は遅延に影響するため、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を利用すると、世界各地の複数の拠点にリソースをキャッシュしてエンドユーザーがアクセスしやすくなります。これにより、ユーザーのリクエストは常に元のサーバーへ戻るのではなく、データにアクセスするためにプレゼンスポイントへ送信されるため、データ取得が高速化します。
エッジコンピューティング
遅延に影響する主な要因は、データを距離のある場所まで伝送することです。ネットワークのエッジで処理タスクを実行すれば、データを中央サーバーへ伝送する必要がなくなります。エッジデータセンターなどのエッジコンピューティングの用途は、より応答性の高いアプリケーションやサービスを実現し、ユーザーのネットワーク遅延を軽減します。
ネットワーク監視
ネットワークを継続的に監視することは不可欠です。ネットワークチームがネットワーク内のボトルネックを特定し、対処できるようになるためです。こうしたチームはネットワーク監視ツールを使って、ネットワーク遅延の問題を特定・処理できます。
サブネット化、トラフィックシェーピング、帯域幅割り当て
サブネット化によってネットワーク全体の遅延を抑えられる場合があります。頻繁に通信するエンドポイントをネットワークチームが同じグループにまとめられるためです。ビジネスクリティカルなネットワークの遅延を改善するには、トラフィックシェーピングや帯域幅割り当ての手法も検討すべきです。