Cisco Systemsは、企業がKubernetesベースの環境の可視性を高め、管理できるよう支援する設立5年の企業replexを買収し、AppDynamicsプラットフォームにクラウドネイティブなオブザーバビリティ機能を追加する。
Ciscoは今週この買収を発表し、CiscoのAppDynamics事業ゼネラルマネジャーであるLinda Tong氏はブログ記事で、この取引により「エンタープライズ規模のクラウドネイティブ環境を監視する製品機能の開発と拡充を加速するため、AppDynamicsの製品・エンジニアリング人材を強化できる」と記した。
Tong氏は、「Kubernetes、リアルタイムのデータ抽出および分析に関するreplexの深い専門知識は、CiscoのFull-Stack Observabilityビジョンの実現を加速する中で、AppDynamicsの世界クラスの製品・エンジニアリングチームをさらに強化し、提供を加速する」と記した。
replexが注力するKubernetes
サンフランシスコを拠点とするreplexは、2016年の創業以来420万ドルを調達しており、クラウドネイティブ環境を構築する企業が、Kubernetesを採用した取り組みのコストを管理し、ガバナンスを確立できるソリューションを提供している。Kubernetesは過去数年で成長し、コンテナ環境のオーケストレーションと実行に使われる事実上の標準ツールとなった。
replexの製品は、クラウドネイティブソフトウェアを開発・導入するDevOpsチームのコスト管理に必要な洞察とツールも、IT部門と財務部門の双方に提供する。CiscoがAppDynamicsの製品群に組み込みたいのは、まさにこうした機能だ。
CiscoのTong氏は、「この12カ月間、今日の技術者が直面する最も困難で複雑な問題の一部を解決するうえで、フルスタック・オブザーバビリティが重要であることについて語ってきた。デジタル経済とハイブリッドな世界への急速な移行に伴い、私たちが仕事の内外で依存するアプリケーションの一貫した可用性とパフォーマンスが、これほど重要になったことはない」と記した。
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ビジネスへの影響を理解する鍵となる洞察
現代の企業は、アプリケーション環境、ユーザー体験、ビジネスへの影響をエンドツーエンドで可視化することを求めている、と同氏は記した。こうした機能があれば、組織はテクノロジースタックで何が起きているのかを理解し、より適切に制御できる。何が起きているかを把握し、問題が発生する前に対処できるようになる。

Ciscoは、AppDynamicsを基盤として、自ら「フルスタック・オブザーバビリティ」プラットフォームと呼ぶものの構築を進めている。CiscoはAppDynamicsを買収し、2017年に37億ドルを支払った。当時、同社幹部は、インフラとアプリケーションからエンドユーザーまでを網羅する完全な可視性を提供することが買収の目的だと説明していた。また、可視性の領域は、企業が事業を前進させるための重要なツールへと成長すると述べていた。
「フルスタックの可視性がなければ、顧客から苦情が寄せられる以外に、何が機能していて何が機能していないのかを判断できない」と、The Enderle Groupの主席アナリスト、Rob Enderle氏はEnterprise Networking Planetに語った。「苦情があったとしても、スタック全体を可視化できなければ、問題の発見と修正に時間を費やすことになるだろう」
全体像を把握する必要性
Enderle氏は、フルスタックの可視性をX線にたとえた。
「X線がすべてを映し出さなければ、実際にX線がすべてを映し出すことはないが、映らないものを問題として特定するのは難しくなり、より侵襲的な手段に移行しなければならない。同じことがここでも言える。この可視性によって、問題を高い精度で特定できるため、より迅速かつ徹底的に修正できる」と同氏は述べた。
今年初め、AppDynamicsはレポート「Agents of Transformation 2021: The Rise of Full-Stack Observability」を発表した。同社は大企業のIT専門家1,050人を対象に調査し、96%の技術者が、テクノロジースタックのパフォーマンスに関する真の可視性と洞察がないことは悪影響をもたらすと回答した。また、76%が、テクノロジーのパフォーマンスについて、もはや自分の直感に頼る余裕はないと答えた。
このレポートでは、回答者の79%が、自ら行うテクノロジーに関する意思決定がビジネスのパフォーマンスに直接影響すると理解している一方、66%は、その意思決定がビジネスの成果にどのような影響を与えたかを効果的に測定する戦略とツールを持っていないと感じていることも明らかになった。さらに73%は、フルスタック・オブザーバビリティとビジネス成果を結び付けられないことが、今年の自社に悪影響を及ぼすと回答した。
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技術者に不足するツール
レポートの著者らは、「現在も多くの技術者が、組織のイノベーション目標を達成するために必要なツールを持っていない。そのため、テクノロジーのパフォーマンスに関する問題の切り分けや、行動の優先順位を適切に定めるためにビジネスの文脈をテクノロジーに関する意思決定へ適用することが難しくなっている。テクノロジーがビジネスにどう影響するかを迅速に理解し、最も重要なものを監視する必要がある。それにより、顧客とビジネスへの直接的な影響に基づき、行動、イノベーション、投資の優先順位を決められる。技術者がITパフォーマンスにビジネスの視点を適用できて初めて、テクノロジースタックの上下をつなげ、増え続けるデータ量が生む『ノイズ』を取り除き、ITパフォーマンスをビジネス上の利益へと変えられる」と記した。
AppDynamicsはCiscoのより広範なオブザーバビリティの取り組みにおける重要な一部だと、Tong氏は記した。
同氏は、「AppDynamics Business Observabilityプラットフォームは、CiscoのFull-Stack Observability戦略における重要なコンポーネントだ。replexの非常に優秀なチームがAppDynamicsに加わることで、プラットフォームの機能を迅速に拡張し、幅を広げ、この戦略を実行できる」と記した。
Cisco、AppDynamicsの機能を強化
CiscoはAppDynamicsの機能追加を進めている。Ciscoは昨年、インターネットおよびクラウドインテリジェンスのプラットフォームプロバイダーであるThousandEyesを買収した。同社のテクノロジーにより、企業はあらゆるネットワークについて洞察を得て、インターネットおよびクラウドサービスプロバイダーに関する問題を解決できるようになった。Ciscoはその後、AppDynamicsとThousandEyesの統合を強化している。
1月には、CiscoがDashbaseの買収を完了した。同社のロギングおよびイベント分析機能により、AppDynamicsのケース調査と問題解決に関するプロセスが改善されると、幹部は説明していた。
8月、Ciscoはイスラエルのスタートアップ企業Epsagonを買収すると発表した。同社のプラットフォームは、IT部門と開発者がコンテナおよびサーバーレス環境の最新アプリケーションをトレースできるようにすることを目指している。
Enderle氏は、AppDynamicsがCiscoの管理アーキテクチャーにおける重要な部分になったと述べた。
「ダウンタイムを最小限に抑え、顧客満足度を最大化することが求められる」と同アナリストは述べ、replexの買収によって「稼働時間とユーザーおよび顧客満足度の確保におけるCiscoの競争優位性が大幅に向上する」と付け加えた。
Enderle氏は、Ciscoのより広範なフルスタック機能について、「問題が解消されなかったり、診断と修正に数カ月かかったりすることを人々はあまり受け入れないため、稼働時間と顧客満足度が向上する。Ciscoは一貫して顧客体験による差別化を図っており、今回の買収は、その体験における優位性を重視し、このような買収に資金を投じる姿勢を示すもう1つの例だ」と述べた。